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中村敦夫『線量計が鳴る』東京・王子公演 老優の怒りに襟を正す (2019.02.08更新)


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2019.2.8

中村敦夫『線量計が鳴る』東京・王子公演
老優の怒りに襟を正す


2019年1月19日、当NPOが主催した中村敦夫『線量計が鳴る』公演。170名強の観客が東京・王子「北とぴあ」に集まりました。その一人、NPO会員の須田さんから寄せられた公演の感想です。

文責・須田忠博


 東日本大震災後、私たちは否も応もなく原発問題と向き合わざるを得なくなった。そして、原発について呆れるほど無知であり、問い直すべき視点がいかに多いかを思い知った。私を始め、大半の日本人がそうだったのではないだろうか。
 しかし、月日が経ち、福島原発の引き起こした災禍に対する誠実な対応と反省のないまま、停止原発の再稼働が始まっている。原発の脅威と原発推進の闇が衝撃的に受け止められた空気は薄まり、消えようとしている。
 1月19日、中村敦夫さんの朗読劇『線量計が鳴る——元・原発技師のモノローグ』を観させていただいた。反骨の老優は心底から怒っていた。忘れてはならない。ならぬものはならぬ。原発はならぬ――と。背筋をピンと伸ばし、79歳とは思えぬ声量で原発問題を解きほぐし、語っていく一人劇だった。
 語られる内容は、原発問題を捉える上での視点を網羅した格好のガイドと言うべきもの。一つひとつを細かくは解説しない。本筋をバサリと斬って捨てる。その爽快さ、痛快さに満場の拍手が幾度となく湧き起った。
 同じ内容を講演形式で行ったとしたら、おそらくこうも引き込まれはしないだろう。台本を練り直しながら演出の完成度を高めてきたに違いない。劇仕立てであることが、講演形式を超えた説得力につながっている。そこに、演じる熱さとセンスのいい話術が加わっているため、観客は身を乗り出して聞き入ることになる。
 中村さんはカーテンコールで「公憤と義憤で続けている」と語った。「公憤」は社会の悪に対する憤り。「義憤」は道義に外れたことに対する憤り、といったところか。いずれであれ、憤りを活力源にして訴え続けているのだろう。そんな中村さんの告発劇に、このところ忘れていた清々しさを感じるとともに襟を正したくなった。