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福島から世界に届け!民の声 12.11鈴木博喜さん報告会 (2017.01.06更新)

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福島から世界に届け! 民の声 ~汚染・被爆・避難の現実~ (2016.10.24更新)

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2017.01.06

12/11 福島から世界に届け!民の声~汚染・被ばく・避難の現実~
Web「民の声新聞」発行人 鈴木博喜さん報告会

ジャーナリストの鈴木博喜さん  福島原発事故後、おもに中通りを中心に足しげく福島県に通い、そこで暮らす一人ひとりの声に耳を傾けて、福島の現実を情報発信しているジャーナリストの鈴木博喜さんを囲む会を、12月11日、本郷文化フォーラムで開きました。鈴木さんのお話の内容は避難者の住宅問題や福島の状況、そして、県や政府への問題提起など多岐にわたるものでした。以下、その概要を報告します。

文責・郡司真弓


 私は横須賀市で生まれたが、当時は横須賀港への米軍ミッドウェイ寄港の反対運動が盛んなころで母に連れられて反対運動を見に行っていた。そんな地域社会の中で育ち、今はフリーランスの記者として震災後「民の声新聞」を発行している。

「今の福島はどうなの?」とよく聞かれるが、年々複雑になりひとことで言えない。
特に、今は自主避難者の住宅補助打ち切り(2017年3月末)が迫り、大きな問題となっている。福島県は大きく分ければ、避難指示区域内と指示区域外に区別され、区域外の人たちは自主避難者と言われているが、本来同じ避難者であるのに区別するのはおかしい。

ジャーナリストの鈴木博喜さん  また「賠償金があるのになぜ、支援策が必要?」とも言われるが、今の自主避難者には住宅無償提供くらいしか支援が行われていない。しかも、それにも制約があり、2012年12月28日までに避難申請の手続きをした人だけに限定され、その後に避難をした人は全て自己負担である。福島の人たち全員に賠償金が支払われ、全員が豊かであると誤解されているが、自主避難者には、大人一人当たり12万円、18歳以内と妊婦は40万円、その他の人には20万円が1回補償されただけだ。例えば子ども2人の4人家族では100万円が一回支給される。確かに100万円というお金は高額だが、転居費用、子どもの教育費用などを考えれば、あっと言う間になくなってしまう。

 この住宅支援策の法的根拠は災害救助法だが、災害救助法は自然災害対応であり、原発事故災害を想定していない。この法律に基づけば、住宅の無償提供は2年間が原則で、その後は一年ごとの延長である。この構造は、一年ごとの更新や将来の見通しが立たない派遣労働者が置かれている現状と似ている。

 2015年5月、朝日新聞のスクープで2017年3月に住宅支援打ち切りが明らかになり、避難者たちも初めて知ることとなった。本来、このような大きな問題は当事者と話し合いがあり、双方の言い分を聞きながら納得して結論を出すべきであるが、今に至るまで話し合いは一切ない。福島県による意向調査アンケートでは、避難者の7割が住宅無償提供の継続を望んでいるが、県はこの声を無視して一方的に新たな支援策を決定した。それは、今後2年間だけの家賃補助であり、1年目最大3万円、2目は2万円、3年目はなし、福島へ帰るなら転居費用10万円支給、他県への転居費用はなしというものだった。

 この背景には、福島県知事が除染や食品の検査等により日常生活ができる環境が整ったので住宅支援の打ち切りを国に打診し、国も了承したという経緯がある。各自治体では新たな支援策を示したが、例えば東京都の場合、支援を受けるための収入要件があって、月額の収入が214,000円超えると支援なしになってしまう。また多くの避難者は、今まで住んでいたところに優先して住むことができる「特定入居制度」を希望しているが、東京都はそれを認めず、一般の人たちと一緒に応募せざるをえないようにした。国が特定入居制度を認めないように通達を出しているためである。さらに、世帯要件(幼児、高齢者などと同居)もあって、、避難者のために現在200戸の枠があるものの、入所要件に満たないため、入れない人が多く、200戸の定員は満ちていない。事故から5年が過ぎ、当時幼い子どもたちも大きくなってきた。器だけは用意するがものの、実際は現実を直視しないハードルの高い支援策となっていることが問題である。

 自主避難者は一万数千世帯と言われている。その人たちの選択を尊重すると言いながら、避難の権利を全く認めていない。福島県内で生活している人たちの支援策を進めるのなら、避難している人たちの支援策も同時に進めることが当然ではないのか。

 その一方で、子どもの甲状腺検査が縮小されようとしている。福島県立医大が震災後に行った妊婦や子どもを持つ親へのアンケートでは、「この間、子どもが入院を要する病気になりましたか?」という問いに対して、肺炎などの感染症が上位を占めていた。やはり、被曝による身体の抵抗力の低下は否定できないのではないかと思う。甲状腺ガンばかりにとらわれるとその他の疾病を見逃してしまい、病名のつかない病気が増える可能性もある。病名のわからない病気があるなら、予防原則の立場に立って、対策を講じるべきである。被曝との因果関係がわからないという前に、まずは避難の権利を認めて国民を守るべきである。

 横浜市などで発生した福島避難者の子どもに対する「いじめ問題」は、けっしていじめではなく人権侵害であり、暴力である。いまさら始まったことではなく、事故当時から避難者は嫌な目に合ってきた。
 被曝リスクは今なお続いていることを報じないメディアの責任は大きい。福島県内に生活している人を非難しないのなら、避難した人も非難しないで欲しい。皆さんの周りにも避難者がいるかもしれない。その方々の声を聞いて欲しい、共感して寄りそって欲しい。