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総会&講演会のお知らせ (2023.03.19更新)
定期総会を中止します。 (2021.04.22更新)
11/22 白石草さん講演会報告 (2021.02.04更新)
小出裕章氏の講演会報告 (2020.02.05更新)
1/25 小出裕章氏の講演会を開催します (2019.12.05更新)
5/19 学習会「チェルノブイリ法日本版」報告 (2019.05.23更新)
定期総会と学習会のお知らせ (2019.04.11更新)
中村敦夫『線量計が鳴る』東京・王子公演 老優の怒りに襟を正す (2019.02.08更新)
2016.4.8
3月29日、講談師・神田香織が語る「チェルノブイリの祈り」を270名参集で開催
3月29日、当NPOが主催した『すべての「核・原発」を止めるために 原作者:スベトラーナ・アレクシエービッチさんノーベル文学賞受賞記念! 講談師・神田香織が語る「チェルノブイリの祈り」』のイベントは、 亀戸・カメリアホールに約270名の来場者を集め、無事に終了いたしました。ご参集いただいたみなさまにはあらためて感謝申し上げます。
「犠牲のシステムとしての原発」──高橋哲哉氏講演から
講演する高橋哲哉氏(哲学者、東京大学大学院教授)

高橋氏は3.11以後の人口減少率などのデータを使いながら福島の状況を概観。 原発事故後、浪江、双葉、大熊、富岡など「人口減少率100%」、つまり全く人の住めない街が出現したことの意味を問います。 なかでも富岡町は氏が子供のころ過ごしたところでたくさんの思い出があるといいます。
一方で福島県にはいわき市など人口が増えている街もあります。 残留放射能が減少したとして、帰還政策が進められている街もあります。 しかし、住民がこぞって避難し、容易に戻れない街が登場したことのインパクトはけっして小さくありません。 3.11直後の政府は東日本全体の壊滅まで想定しながら、対策案を練っていたことがいま明らかにされています。 万一、原発事故がもっと過酷であれば、それを実行せざるをえなかったでしょう。
福島原発事故の衝撃はそれほどのものであり、 5年後の今もそこに想像力を働かせる必要がある、と高橋氏は言います。 原発は、所詮は電気をつくるプラントでしかないのに、つねにそうした潜在的な危険性を有するものなのです。 一部の人が電気を享受するという利益のために、別の一部の人の犠牲を前提にするという、 「犠牲のシステム」の象徴でもあると、高橋氏は指摘します。
もう一つ、高橋氏が参照するのは、居住制限区域に残った人々のことです。 無人化した富岡町で一人、動物の世話を続ける松村直登さん(ドキュメンタリー映画『Alone in Fukushima』の主人公)。 浪江町で「希望の牧場・ふくしま」を営む吉沢正巳さん。大熊町に一時帰宅のたびに防護服姿で娘を捜し続ける木村紀夫さん。 これらの人々の存在は何を示しているのか。彼らは何を訴え、何に抵抗しているのか。
住民が去った跡には、いま放射能汚染土などを貯めたフレコンパックが運び込まれ、山のように積み上がっています。 大熊、双葉の両町では中間貯蔵施設建設のために住民から土地を買い取る計画が提示されています。 しかし、地権者の一人である木村紀夫さんはそれを拒否しています。
彼らは、原発事故が奪った生活の営みと家族のつながりを記憶し、それを問い続けるためにあえてそこに残り、通い続ける人々です。 彼らの存在こそが、原発が人間社会にもたらす「犠牲」をたえず浮かび上がらせているのではないか、と高橋氏は言います。
「人間が生きるためには、土地、空気、水が不可欠。それが十分なければ、人類は文明をつくることができなかった。 それらが回復不能になれば、命の営みは続けられない。 原発事故はそうした人類にとってかけがえのないものを汚染し、住めない土地、吸えない大気、飲めない水をもたらす。 原発は軍事的な核と表裏一体のもの。その両方とも日本の未来には必要ない」
と、高橋氏は強く語りかけました。
「運命的なイベント」──神田香織講談への感想から
「チェルノブイリの祈り」を語り始める神田香織

なかには初めて講談を聞いた人も。
イベント終了後に参加者と交流

「放射能を大量に浴びて二人がどうやって亡くなったのか、まったく知りませんでした。とても恐ろしいことだと思います。今日、聞けたこと、本当に良かったです」
「運命的なイベントでした。日本の多くの人々にこの講談に出会って欲しい。読むのと聞くとはまた、違う衝撃がある」
「高橋先生のお話はとても分かりやすくてよかったです。難しい科学の話ではなくて、想像力ということがとても大事だという意味で素直にお話が心に入りました。講談はとても凄かったです。涙がこぼれました。大切な人があっという間に別の人になっていく、日々、人間がくずれていく、そんな様子をみているような気持で苦しかったですが、最後まで聞かなければ、と思いました。未来のためにも!」
「チェルノブイリに関する書籍を読んだことはあるが、講談として聴くと、鮮明に光景が浮かぶようでした。被ばくの度合いは違えど、フクシマにもこうした無数のドラマがあることを改めて思いました」
私たちは、みなさまのご支援をはげみに、今後も講談・講演・討論会などさまざまなイベントを開催していきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。