特定非営利活動法人「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」


2016.03.03

2月21日、福島のコミュニティー再生事業として、今回は南相馬へ行ってきました。

 2月21日、福島のコミュニティー再生事業として、今回は南相馬へ行ってきました。 実行委員は「相双の会」の國分富夫さんをはじめとして地元の有志の皆さん。 國分さんは昨年秋に「原発問題を考える埼玉の会」で講演されたばかりです。「埼玉の会」は隔月でジャーナリストや埼玉に避難している福島の方をゲストに集会を開催、3月29日の「チェルノブイリの祈り」公演の協賛団体でもあります。今回はこの会のメンバーで、地域で活躍中のジャスティスのお二人も歌で参加していただき、南相馬の皆さんに埼玉の応援団を紹介させていただくこともできました。

神田香織の講談 さて、 晴天の21日、ひばり生涯学習センターのロビーは「相馬野馬追い」の陣羽織などが展示され、相馬藩の歴史を感じながらホールへ向かい、実行委員の皆さんと準備を開始しました。約100人の皆さんが参加し、午後1時半から歌や講談を楽しんでいただき、終了後は客席の皆さんの席へ移動し、交流会を持ちました。

2月7日には丸川環境大臣が 「1ミリシーベルトは化学的根拠がない」と発言(後日撤回)。そして折しも前日の20日、国が4月に南相馬小高区の避難指示を解除しようとする説明会が開催されたばかりでした。皆さん、やはり口が重くため息をつく方もおり、「小高区の海側は線量が低くなったものの、山側はいまだ高線量でとても住めないのでは? 個別に対応してもらわねば!」という私の発言に大きく頷いていました。中には「神田さんはこういう講談をやっていて食べていけるのですか?」という質問もあり、「テレビに出なくてもキップで食べていくのが芸人の誇りです」とお答えしました。私の身を案じてくれる、ありがたいことです。(笑)

翌日、國分さんの案内で憲法学者、鈴木安蔵の生家に行きました。古びていましたが、 保存して欲しいと願いつつ、夜間は宿泊を禁じられている小高区の町中を走ると、乾物屋が開店していてびっくり! 國分さんに聞くと「戻った人が掃除道具などを買うことができるように」と、店主が頑張っているそうです。解体を待つ家々が並び、誰一人いない町中でもう一つ驚いたのが復興住宅の建設現場です。果たしてここに住む人がいるのだろうか‥そう思いながら、國分さんの友人のお宅へ向かいました。

プレコンバック置き場 ここは桜やツツジが見事な家で庭には長椅子もあり、桜の時期になると大勢の方が楽しみに来る家でした。しかし、今、家の前に広がるのは福島県一の広大な10ヘクタールものプレコンバック置き場でした。ドローンでなければ全景はみえないと、写真撮影を諦めたくなるほどでした。この家の前にもプレコンバックが8個置いてあり、期日がきても取りに来てくれないと嘆くご主人でした。放射性物質が日常的に近くにあるこの現実と、全くみえてこない未来‥この福島の現状に蓋をしてオリンピックのために来年3月までに帰還困難区域を除く全区域を避難解除しようとする国。まずは人間の尊厳の復興がなければ、と強く憤りを感じる今回の公演となりましたが、交流会の最後に元気が出る発声法を皆さんに楽しんでいただき、また来てね〜と喜んでいただけたのはうれしい限りでした。こんな状況だからこそ、当NPOとしても福島と繋がり続けることと、福島の現状を歌や言葉やいろんな方法で伝え続けることの大切さを再認識することになりました。南相馬の皆様、ありがとうございました。

元気が出る発声法 ジャスティス