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2014.11.22

「原発と自然エネルギー、どっちが経済成長?!」シンポジウム開催しました。

 11月15日(土)、JICA地球ひろば(市ヶ谷)でシンポジウムを開催しました。いま全国各地で脱原発の声とアクションが高まっていますが、この運動をさらに広がりのあるものにするためには、原発が抱える経済リスクやこれからの代替エネルギー選択に向けた具体的な方策という面からも、原発を捉える視点が欠かせません。市民の間では、今後再びありうる事故リスクについては不安を感じていながらも、「原発は他のエネルギーに比べて電力生産コストが安いし、代替エネルギーも広まっていないので、当面はやむをえず原発を使い続けざるを得ない」という意見が根強く、それが脱原発運動の草の根レベルでの広がりを妨げているからです。
 本当に原発はコストが安いのか、原発から再生エネルギーへシフトするためにはどういう方策が必要なのか、市民が主体的にエネルギー政策を選択することは、これからの社会にどういう意味をもつのか──などを今回のシンポジウムを通して考えることにしました。
 メディアでは歯に衣を着せない経済学者として知られている金子先生は、ちょうど国会解散・総選挙という話が沸いてきたタイミングもあり、安倍自民党政権の批判から話を始めました。
 原発コストについてはまず、電力会社の財務分析を行い、現在の東電の財務状況はかつて不良債権を抱えていた銀行と同じ構造であることを指摘しました。バブル崩壊後の銀行不良債権問題は都市銀行の大規模な再編を生みましたが、電力会社についてはそこが曖昧にされています。たとえ全原発を止めても、または廃炉にしても減価償却費用として残るため、東電の赤字構造はこれからも続きます。その対策としては、引き当て不足分の株券を発行してそれを国が買うこと以外に、この構造から脱却する道はないと、金子先生は説明します。国が責任をもって不良債権を処理することが必要であり、その動きを市民が支えることが不可欠であるというのです。
 一方で、福島の原発事故は、史上最大の環境汚染問題であると捉えること重要だと指摘しました。こうした状況の福島を救うためには、感情的・倫理的なスローガンに終始するのではなく、原発に替わる産業や原発に依存しない社会をどのように生み出していくのかという視点を、私たち市民がもつ必要があります。財界の論理とは全く逆に、原発をこのままだらだらと続けていてはけっして日本は経済成長ができないと、金子先生は強調します。
「原発を止めることは、イコール経済成長を止めるということではない。むしろ原発から再生エネルギーへの転換が、21世紀型の経済や社会システムを作るうえでの重要な契機になるのだ」というのが、金子先生の主張です。
 例えば、現在、大量生産・大量消費の集中メインフレーム型でつくられているエネルギーの構造を、地域分散型のネットワークに変えて行くことだけでも、経済や社会は大きく替わります。太陽光、風力、バイオマス、小水力など、一つひとつでは小規模で不安定でコスト高かもしれないが、それをネットワークで結びつけ、賢い送配電網(スマートグリッド)や蓄電システムで需給バランスをコントロールすれば、必要な電力は賄えるようになる。ひいては、それがIT、電機、住宅などの分野で新しい産業を創出することにつながる、と金子先生は新しい社会システムを視野に入れた提言を行いました。

 第2部のパネルディスカッション「福島発ご当地電力の可能性」には、遠藤由美子さん(奥会津書房編集長/会津自然エネルギー機構)、金海蒼(キム・へチャン)さん(韓国、キョンソン大学教授)、金子先生、神田香織理事長が参加しました。

 遠藤さんらのグループはもともと会津の歴史や生活文化を研究し、会津関連の書籍を編集・出版していましたが、「3.11」以降は、原子力の危険性にあらためて気づくようになりました。原子力に依存せず、身近で再生可能な自然エネルギーによる社会の構築をこの会津の地から始めようという合意のもとに「会津自然エネルギー機構」を設立。会津にある山と水を活かした、小水力発電やバイオマス発電に取り組んでいます。
「原発とその事故が地域社会を分断し、豊かな自然と人々の生活を壊滅させるということを私たちは眼前に見てきた。私たちの運動は、電力を生産すること自体が目的なのではなく、人々が自立し、かつ支え合いながら生きていく新しい地域社会を作ることが目的。再生エネルギーに地域社会再生の可能性と未来を見出している」という話がありました。

 韓国・釜山で「古里(コリ)原発」の危険性を早くから指摘し、大学教授のネットワークづくりなど幅広い脱原発運動に取り組んでいる金海蒼先生からの報告は、韓国の原発の現状を初めて知る人も多く、高い関心を呼びました。もし老朽化した古里原発で事故があれば、その影響は当然日本にも及びます。古里原発は長崎県対馬からわずか75kmしか離れていないのです。九州の原発から放射能が漏れれば、それは韓半島や玄界灘を汚すのと同じです。
 これからの脱原発運動はつねに地域の生活者の視点をもちながら、もう一方では、韓国、中国、台湾など東アジア全域に広く目を向ける、いわば“虫の目”と“鳥の目”の両方が必要です。そのように私たちの視野を広げてくれたという意味で、今回はきわめて有意義なシンポジウムでした。

シンポジウム参加者の感想(アンケートから一部抜粋)

<第1部 基調講演>
・先生のお話で将来の道筋がおぼろげながら見えてきました。
・先生のお話は参考になりました。一人ひとりの力は小さくても、身近なところから変えて行けるのではと考えます。
・原発の問題で、金子先生の言うような財務上の話がなぜ出てこないのか疑問。普通のビジネスの思考では当然考えるべき問題である。
・普通の人の目線・感覚で人と話し、繋がることの大切さを思います。
・原発問題を経済面からみることができ、非常に良かった。
・おかしいことはおかしい口に出して取りあえず生きて行こうと思います。

<第2部 パネルディスカッション>
・会津の話はとても感銘を受けた。通常の二次産業・三次産業ではなく、一次産業からの方がより奥深い発展が見込めると思う。
・福島の現状について、現場からの声を聞けて本当に良かった。
・韓国の話が聞けたのが良かった。「原発に国境はない」──全くその通りです。
・金先生、遠藤さんの興味深いお話を伺って、地域の自立の可能性を信じられました。
・会津の元気を頂きました。
・原発を止めるには国際連帯が本当に必要です。素直にいきたい!
・金先生の脱原発は国境を越えて連帯しなければなりません。
・遠藤さんが淡々と話されたことは心に浸みます。未来が見えたと言いきられたのには感動しました。
・大変ユニークな講演内容で面白かった。