特定非営利活動法人「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」


2014.5.26

韓国・釜山での共同出版本の記念式に参加

事務局長 郡司真弓

協同出版に至る経過

共同出版本(右)

 5月18日~21日まで、神田理事長と宗像良保さん(会員)と私(郡司)の3人は釜山へ行ってきました。2012年9月に宗像さんと私たち6人はチェルノブイリに行き、26年経っても放射能は蔓延し、子どもたちの健康被害は次世代に引き継がれることを間の当たりにしてきました。帰国後、宗像さんは報告書「フクシマが見たチェルノブイリ26年目の真実」にまとめて出版しました。
 この1月に韓国の市民団体から招聘された私は、ソウルや太田市、釜山など4か所での報告会で本を希望者に配布し、原発事故と放射能の被害について共有をしました。それを読んだ釜山の金海蒼さん(慶星大学教授)から、古里原発も加えて協同本として出版したとの嬉しい話が届き、この度の出版記念式となりました。
 340万人が暮らす釜山は住宅が密集し、リゾート-地の海雲台は高層ビルが並んでいました。しかし、20~30㎞には福島原発と同じ頃に建設されて事故も多い古里原発があります。釜山に到着早々、私たちは脱原発の運動をしている人たちと交流を図り、韓国の原発について理解を深めました。

                  釜山の住宅街(左)   リゾート地の海雲台の高層ビル街(右)


韓国の原発

 韓国は2013年6月現在、国内エネルギーの中で原発が占める割合は26.4%です。電気料金は非常に安く、生産コストよりも消費コストが安い構造のため、多額の税金が電気料金として補填されています。その背景もあり、電気消費について市民はあまり意識せずに生活していました。韓国では、現在の23基の原発に加え、現在5基を建設中、そして2024年には34基にする予定です。1978年に完成した原発第1号の古里には原発4基、新古里3基が稼働中で現在1基建設中、さらに5・6基が2019年までに完成の計画です。古里原発は相次ぐ事故と情報隠しなどがあり、20数キロしか離れていない大都市釜山の人たちは、日々多くの不安を感じています。さらに、その新古里原発の6基の電力の765KVの高圧送電線は、密陽市の4地域を通過してソウルへ送られる計画です。その建設予定地の近隣に住む4地域の住民は、身体や自然への影響を考えて9年も戦い、その間12回の工事計画を中止にしました。

初めて釜山での脱原発講談

 19日は、脱原発活動に取り組んでいるYWCAの組合員のイベントに参加しました。朝から脱原発の学習会をしていた300人以上の組合員は、古里原発を抱えているだけに、会場は熱気に包まれていました。神田理事長は約20分間、講談でチェルノブイリと福島を語り、宗像さんはチェルノブイリ報告、私は福島の様子と市民団体の動きについて報告をしました。韓国語に翻訳した内容をパワーポイントで映し出しながらの初めての講談は、多くの人たちの心に響きました。特に、津波被害の時の語りをセウォル号に重ねて涙ぐむ人も多く、胸に迫りました。不安のあった初講談でしたが、通訳の金先生のおかげで大成功に終わりました。



 夜は、出版記念会でしたがセウォル号のこともあり、記念祝賀会ではなく交流会となりました。宗像さんのチェルノブイリ報告の後の質問では、6月4日には韓国で統一地方選挙が予定されているため、「脱原発について安倍政権はどうなのか?」「東京都知事選は、なぜ負けたのか?」「脱原発の市民の意識はどうなのか?」など日本の政治問題への関心が高く、大変良い交流になりました。


生命が大切になる社会へ

 20日は、釜山の生協の組合員を対象とした学習会でチェルノブイリや福島の報告をしました。やはり、脱原発の活動をしている組合員ですので、福島で起こっていることに大変関心が高く、「子ども健康被害は?」「なぜ、福島に住んでいるのか?」「国の支援体制はどうなのか?」など、多くの質問も出ました。1か月前のセウォル号事故や福島の原発事故は、命よりも経済を優先してきた結果です。互いに大きな悲しみを乗り越えて、命が大切な社会へ転換していきましょう~と確認をしました。


古里原発視察

古里原発

 大都会釜山から20~30㎞の古里原発に行ってきました。古里原発の近くに漁港があり、小学校は僅か800mとのこと。そして、どこからも原発がはっきり見えることも驚きでした。新古里の電力を消費するのは大都市ソウルの人たちです。ソウルに送る送電線が至る所で目につき、1月の訪問した送電線の下に暮らす密陽の人たちの顔が思い出されました。この構造は、福島と全く同じです。釜山もソウルの人たちと一緒に運動を作っていくことが必要です。そして、福島の原発同様、50年の使用延長を決めた古里1号基が福島の二の舞にならないよう願うばかりです。釜山は福岡と大変近く、さらに、もし事故が起こった場合には、放射能は風に乗って日本に向かってくることは確実です。次世代に核のない社会を引き継ぐには、韓国の原発の情報も得ながら、日韓の市民同士が連帯していくことが重要です。今回出会った人たちと引き続き連携しながら誰もが安心して暮らすことができる社会を作っていきたいと思います。