特定非営利活動法人「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」





10.15〜16 いわき市、飯舘村を巡るふくしまツアー報告 (2016.10.24更新)

ふくしまツアー参加者募集 <飯舘村からふくしまを考える> (2016.08.29更新)

2月21日、福島のコミュニティー再生事業として、今回は南相馬へ行ってきました。 (2016.03.03更新)

会津自然エネルギー事業ツアー レポート (2015.09.16更新)

2015年9月ふくしまツアーのお知らせ (2015.07.21更新)

韓国の原発の現状を知り、日韓市民の連携で脱原発への道を拓こう 2015.4.17~20 韓国・古里原発視察ツアー報告 (2015.05.15更新)

NPOまつもと子ども留学基金 (2015.03.19更新)


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2013.12.25

南相馬、復興の現状をみる──住民の声を無視して進む巨大防潮堤建設
12/20-21「結結プロジェクト」南相馬・車座集会報告

事務局長 郡司真弓

 12月20日~21日にかけて、「結結プロジェクト」の車座集会が南相馬で開催されました。
 結結プロジェクトは、東北の女性リーダーと首都圏の女性たちが連携し、女性の力で復興地、さらに日本を復興させようと震災2か月後に立ち上げました。国や自治体が動かない中、この間、14の事業を実行しました。今回の車座集会は6回目を迎えます。

 南相馬は原発事故の影響で、首都からのアクセスは双葉町で分断されているために、仙台駅か福島駅からバスで2時間かかります。私の故郷のいわき市から南相馬まで、かつては車で約1時間半でしたが、今は5時間ほどかかるようになり、南相馬は近くて遠い処になってしまいました。

 津波と放射能の影響を受けた南相馬市は、「避難者指示解除準備区域」「住居制限区域」「帰還困難区域」と、平常生活ができる地域の4つに区分され、同時に双葉郡の避難者が仮設住宅で暮らすという、複雑かついろいろな背景をもつ人が混在した町になっています。

 今回の車座の参加者は首都圏や南相馬の市民だけでなく、仙台、岩手、さらに九州の大学生など約100人になりました。車座集会の他に、南相馬で活動している市民団体などを訪問しました。

空き地でヤギの飼育が始まる──鹿島塚合第2仮設住宅

南相馬、復興の現状をみる 南相馬、復興の現状をみる
 鹿島塚合第2仮設住宅では174世帯340人が暮らしています。自治会長の藤島さんから話を伺いましたが、将来への希望が見いだせないいらだちを訴えていました。これは、どこの仮設住宅でも言われることです。今後、定住の住宅建設も始まりますが、入居者資格の制限もあるとのこと。一日でも早く安住の地で暮らせるように国は率先して住宅政策をすすめて欲しいものです。仮設住宅では、空き地でヤギの飼育も始まりました。生きる希望を僅かでも見つけ出している力を感じました。

本当の防災になるのか──進む巨大防潮堤建設

南相馬、復興の現状をみる  今、岩手県から福島県まで約300㎞にわたって巨大な防潮堤の建設が進められようとしています。宮城県では住民の反対運動が起こっていますが、福島県ではすでに工事が始まっています。建設費に200億円。総事業費は200兆円とも言われる大規模工事。コンクリートの巨大な壁は自然を破壊し、人口の浜に変えてしまいます。さらに、巨大防潮堤のメンテナンス費用は県が負担せねばならず、次世代までに借金を負わすことになっています。
 津波の被害を受けた住民は、全て高台移転をして海の近くには誰も住みません。確かに、津波の恐怖を味わった人は防潮堤の建設を希望するでしょう。しかし、太平洋岸の砂浜を壊し、干潟を潰して海を目の前から消してしまうことが、本当に防災になるのか、疑問を感じます。
 南相馬の防潮堤は、防風林も併せた構想です。その周りには、現地に合う木を植え始めていました。防風林の松が津波によって第2次被害を及ぼしたことも明らかになっていますが、それでも今度も松を植える計画です。どうやら農水省が「松」と指定しているとのこと。地域住民の参加が見られない福島の防潮堤のあり方について、疑問を感じました。故郷いわき市の海には高さ10mの防潮堤が建設されるとのことです。

市民による太陽光発電と農業再生の試み──えこえね南相馬

 一般財団法人「えこえね南相馬研究機構」は 農地と太陽光発電の共存による農業再生・地域活性化を目指して、ソーラーシェアリング、ハウスdeソーラー、農地の活用などの事業を行っています。現在は、地域でエネルギーの学習会、事例の見学会、子どものワークショップなどを実施しています。震災後、福島県内では市民による自然エネルギー発電が歩み始めました。そのようなところとネットワークして、地域活性化を実践して欲しいと思います。
南相馬、復興の現状をみる 南相馬、復興の現状をみる
 夜のミーティングでは、精神病医師、保育園園長、地元企業、セラピーなど各分野から活動の報告と提言などがありました。
 その中で印象的だったのは雲雀ヶ丘病院副院長の堀医師の話でした。震災前は地域内に4件の精神科病院が存在していましたが、震災後はこの病院だけです。堀氏は「こころの再生は、コミュニティーの再生」をモットーとするNPO法人「みんなのとなり組」を立ち上げました。その大きな柱になっているのがラジオ体操です。毎朝、太陽の下で顔を合わせる、声を出す…、これをきっかけに患者さんたちは徐々に回復していくという。今では、ハイキング、各種講演会を開催して地域の再生にも取り組んでいます。

 このように、厳しい環境に置かれている南相馬でも、前を向いて歩んでいる人たちがたくさんいます。しかし、今大きな課題は人不足です。仕事があっても「働く人」がいないため、時給は1,000円と高騰しています。看護師、保育士、介護士、パートなど、至る所で人不足の話が聞かれました。今後、オリンピックの工事が東京で進んだ場合、多くの労働者は首都圏に集中し、被災地の復興は取り残されてしまいます。南相馬で前を向いて歩んでいる人たちが孤立しないよう、私たちが常に繋がっていきたいと思います。
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